新古今の景色(15)女房文学(8)清少納言のパトロンは道長か(4)

さて、いよいよ「道長は清少納言のパトロンか」の結論にせまりたい。 中宮定子付きの同僚女房たちから『少納言は左大臣道長方の人たちと通々なのだ』と疑われて居たたまれなくなり、出仕を退き実家で鬱々と暮らしていた清少納言の許に、定子から貴重な紙が届…

新古今の景色(14)女房文学(7)清少納言のパトロンは道長か(3)

さて、『枕草子136段』では、実家で里居する清少納言を訪れて、藤原道長に追い詰められ孤立状態の中宮定子を訪問して、健気に振る舞う定子や女房の様子を伝えながら「こういう時こそ貴方が中宮のお傍近くにいてお力になるべきですよ」と、優しい言葉で清…

新古今の景色(13)女房文学(6)清少納言のパトロンは道長か(2)

ところで、『枕草子 136段』では、 道長の猶子とも言われる源経房が、長い里居をしている清少納言を尋ねて、道長に追い詰められ厳しい暮らしに健気に耐える中宮定子と女房達の様子を語り、「こう言うときこそあなたがお側に仕えて支えるべきですよ」と次…

新古今の景色(12)女房文学(5)清少納言のパトロンは道長か(1)

長徳元年(995)4月 中宮定子の父・中関白道隆が43才で急逝 長徳2年(996)正月 道隆の息子伊周と隆家の従者が花山法皇に弓を射る 4月 伊周と隆家は九州に左遷され、定子の母方も失脚して 中関白家は壊滅状態に。 5月 左遷を拒み中宮御所に潜伏…

新古今の景色(11)女房文学(4)パトロン道長と和泉式部

和泉式部の『和泉式部日記』は、帥宮の死後に、生前の帥宮と親しかった道長の勧めによって書かれたとされている。 その『和泉式部日記』は、冷泉天皇の第三皇子の為尊親王と愛し合った和泉式部が、為尊親王の急逝に伴い、彼女を見舞った弟君の帥宮(敦道親王…

新古今の景色(10)女房文学(3)後宮文学のパトロン藤原道長

女房たちは毎日目前に天皇、中宮と高級貴族に接し交わってゆくうちに宮廷文化を身につけ、歴史や社会について学びながら人間観察の目を磨いてゆく。 特に中宮を中心とする後宮文学の隆盛は、複数の后が並び立ち、それぞれの后の後援者(父・兄弟)達が、天皇…

新古今の景色(9)女房文学(2)女房について

前回、女房には内裏女房、中宮女房、内親王(斉院・斉宮)女房等があると述べたが、しばしば摂関家及び受領階級などの家に仕える女房の他に、院政期には上皇・女院に仕える女房も生まれた。 そして、特に宮廷に仕える女房は現代における最先端のキャリアウー…

新古今の景色(8)女房文学(1)摂関期は後宮女房文化の時代

先回の『新古今和歌集』入集歌人の中から享年が70歳以上の女性歌人10人を拾い上げたところ以下の6人の女房歌人が含まれていることが浮かび上がってきた。 俊成卿女 82歳 29首 俊成の孫、後鳥羽院女房 赤染右衛門 80歳 10首 大江匡衡妻、 道長妻…

新古今の景色(7)長寿な女房歌人

ここまで『新古今和歌集』入集歌人をとりあげてゆくとやはり女性歌人にも目を向けなくてはならないだろうと思い、以下に享年が70歳以上の女性歌人10人を入集数と共に拾い上げてみた。 1 上東門院彰子 87歳 5首 道長の娘、一条天皇中宮 2 成尋阿闍梨…

新古今の景色(6)子女の長寿が築いた「望月の栄華」

ところで『新古今和歌集』の著者略歴から長寿者をピックアップしているうちに藤原道長の子女の長命さに目を留めることになった。 藤原道長 62歳 5首 摂政太政大臣従一位 上東門院彰子(娘) 87歳 5首 一条天皇中宮、 後一条天皇・後朱雀天皇の母、 後…

新古今の景色(5)長命な歌道家(3)御子左家(2)天才歌人と天才絵師の母

藤原 俊成 91歳 皇太后宮太夫従三位 72 定家(俊成の息子) 80歳 権中納言正二位 46 美福門院加賀(定家の母) 70歳 美副門院女房 1 藤原隆信(加賀の息子) 64歳 右京権太夫正4位下 3 ここでは「新古今和歌集」に1首入集した藤原俊成の妻で…

新古今の景色(4)長命な歌道家(3)御子左家(1)後鳥羽院歌壇をリード

御子左家は藤原俊成とその息子定家の確立した和歌の師範の家筋。俊成は古今集の正調を継ぎながら幽玄美を追求し、定家は父の歌学をさらに発展させ、慈円、藤原良経とともに新古今風を確立して清輔・顕昭などの六条藤家を圧倒した。 因みに御子左とは、藤原道…

新古今の景色(3)長命な歌道家(2)六条藤家

「六条藤家」は白河法皇の乳母子として権勢をふるった藤原顕季を祖とする歌道の家で、その顕季は宮廷歌壇の庇護者となり、人麻呂影供(※1)を創始してその継承を広めつつ「歌の家」を確立して顕輔・清輔・顕昭らを輩出した。 顕季の息子で清輔の父でもある…

新古今の景色(2)長命な歌道家(1)六条源家

『新潮日本古典集成 新古今和歌集 下』巻末の著者略歴を一覧して見えてきたのは、総じて歌道家(歌の家)の一族の長命さである。 ここでの歌道家(歌の家)とは、中世に宮廷の諸領域で形成された「家」の一つで、歌道家は天皇・上皇の命を受けて勅撰和歌集の…

新古今の景色(1)90歳以上の長寿歌人

私が『新潮日本古典集成 新古今和歌集 上・下』を手にして、真っ先に感じたのは、あの時代に随分長生きした歌人が多かったのだなという感慨だった。 で、どれくらい長生きをした歌人が多いかの把握することにしたのだが、まずは当時の日本人の平均寿命を知る…