2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

新古今の景色(64)院政期(39)歌林苑(29)道因(3)人生と歌

道因がいくら藤原北家の出とはいえ、摂関政治が栄華を誇った時代は遠くに去り、今や天皇の父・上皇が実権を握り台頭著しい武士との連携で政権を運営する院政期にあって、藤原北家の支流のさらに支流の出の道因にとって、位階の昇進は到底望めず、従五位上止…

新古今の景色(63)院政期(38)歌林苑(28)道因(2)出自は藤原北家

さて、無常の時代に歌への激しい執念を燃やして90余才まで生きた道因とは一体どのような人物であろうか。知られている略歴は次の通り。 道因の俗名は藤原敦頼。藤原北家の高藤の末裔で治部丞清孝の息子として寛治4年(1090)生に生まれ、没年未詳だが、治…

新古今の景色(62)院政期(37)歌林苑(27)道因(1)歌への執念

『無名抄』で鴨長明は、歌に命をかけて九十余才まで生きた老法師の凄まじい執念のありようを「63 道因歌に志深きこと」で見事に活写している。 【歌道への志の深さにおいては道因入道(※1)に並ぶ者はいません。入道は70~80歳になるまでは「どうか良…

新古今の景色(61)院政期(36)歌林苑(26)登蓮(3)

さて、鴨長明・兼好法師という希代の識者を注目させた登連法師とは一体どのような人物であろうか、と、あれこれ調べてみたが、出自・系譜・生没年未詳で、判明したのは以下の事項。 ・治承2年(1178)頃は生存。中古六歌仙、歌林苑会衆の一人。家集『登連法…

新古今の景色(60)院政期(35)歌林苑(25)登蓮(2)兼好法師の視点

次に登連法師の「ますほのすすき」の逸話についての兼好法師(※1)の視点を『徒然草~第百八十八段 』でみてみたい。 【一事を必ずなそうと思えば、他のことが駄目になることを惜しんではいけない。人の嘲りも恥じるべきではない。万事を犠牲にしなければ一…