2022-06-01から1ヶ月間の記事一覧

新古今の景色(116)院政期(91)小侍従の遁世(1)「待宵の小侍従」

待つ宵の 更けゆく鐘のこゑきけば あかぬ別れの鳥は物かは 『平家物語 巻第五 月見』によれば、この1首によって「待宵の小侍従(※1)」の名は決定的になったと下記のように記されている。 〔そもそもこの女房を「待宵」と召されけることは、あるとき、太宮…

新古今の景色(115)院政期(90)寂蓮の遁世(28)入滅~定家の慟哭

寂連の入滅した日は明確ではないが、彼が出詠した最後の歌合は、後鳥羽院が建仁2年(1202)5月26日に主催した『仙洞影供歌合』とされる。 その一ヶ月後の寂蓮と近しかった藤原定家の6月29日の『明月記』には、 〔廿日、天陰、炎暑之間衆病競起甚…