2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧

新古今の景色(114)院政期(89)寂蓮の遁世(27)『熊野懐紙』と『一品経和歌懐紙』

ところで寂蓮は和歌の名手だけではなく、舞の名手として、さらには能書家としても広く知られている。舞については、29歳の仁安2年(1167)に賀茂臨時祭の舞人を務めたことが平信範の日記『兵範記』に、31歳の仁安4年(1169)と翌年の嘉応元年…

新古今の景色(113)院政期(88)寂蓮の遁世(26)『仙洞影供歌合』~最後の歌合

建仁2年(1202)5月26日に後鳥羽院が主催した『仙洞影供歌合』は、寂連最後の歌合とされ、その2ヶ月後の7月に寂連は入滅した。 ところで「影供歌合」とは元永元年(1118)、平安期の歌人・藤原顕季が歌会の場に、歌聖と称された柿本人麿の像を…

新古今の景色(112)院政期(87)寂蓮の遁世(25)『三体和歌会』(2)後鳥羽院の賞讃

更に続けて『三体和歌会』での寂蓮の詠歌を見てゆきたい。 夏 太くおおきに読むべし 夏の夜の有明の空に郭公 月よりおつる夜半の一声 (夏の夜の明けようとする頃の空に、郭公の月の内より出てくるかと思われる 夜半の一声がする) 秋 からびほそく読むべし …