先回の『新古今和歌集』入集歌人の中から享年が70歳以上の女性歌人10人を拾い上げたところ以下の6人の女房歌人が含まれていることが浮かび上がってきた。
俊成卿女 82歳 29首 俊成の孫、後鳥羽院女房
赤染右衛門 80歳 10首 大江匡衡妻、
道長妻倫子及び上東門院女房
小侍従 80歳 7首 石清水別当の娘、
二条院・高倉院女房
二条院讃岐 76歳 16首 源頼政娘、二条院女房
美福門院加賀 70歳 1首 定家の母、美福門院女房
慇富門院大輔 70歳 10首 後白河院皇女慇富門院女房
かねてから私は『女房文学』に関心をいていたので、これを機会に、古代から中世に変わる過渡期に何故日本に世界でも希な「女房文学」が存在したのか、少し掘り下げてみたい。
ところで女房には内裏女房、中宮女房、内親王(斎院・斎宮)女房等があるが、女房文学興隆期の摂関期は、下記のように一条天皇の後宮であった定子中宮と彰子中宮の後宮サロンが女房文化の中心であった。
・娘小式部(和泉式部の娘)
『枕草子絵~呉竹の場面』日本の美術48号白描絵巻」至文堂より
『紫式部日記絵巻~藤原道長が式部の局を訪う場面』「美麗院政期の絵画展」カタログより