2020-01-01から1年間の記事一覧

新古今の景色(29)院政期(4)源頼政(4)父・仲政(2)父子相和す!

次の歌は寂然法師(※1)と源頼政の父・仲政との間に交わされた贈答歌である。 父なくなりて後、常盤の里に侍りける比、やよひばかりに源仲正(仲政)が許に遣しける 寂念法師 〔春までもとはれざりける山里を 花さきなばと何思ひけむ〕 返し 仲政 〔もろとも…

新古今の景色(28)院政期(3)源頼政(3)父・仲政(1)歌人一家を成す

清和源氏の源頼光の曾孫に当る頼政の父・仲政(仲正とも書く)の生没年は未詳だが、三河守頼綱を父として治暦2年(1066)頃生まれ、崇徳天皇御世の保延3年(1137)以後に没したとみられる。 【清和源氏・源頼政の直系略図】 源満仲→頼光→頼国→頼綱→仲…

新古今の景色(27)院政期(2)源頼政(2)文武両道・源頼光の玄孫

平安時代に台頭した武士階級の中でも早くから京に昇り、いち早く公家貴族と積極的な接触を図り、強い絆を築いたのは源満仲の子の頼光・頼信ら清和源氏であった。 【清和源氏・源頼政の直系略図】 源満仲→頼光→頼国→頼綱→仲政→頼政→仲綱 なかでも源頼光が進出…

新古今の景色(26)院政期(1)源頼政(1)勅撰和歌集の常連

鴨長明が『無名抄』(55.俊成入道の物語、56.頼政歌道に好けること)で述べているように、当時最高の歌人であった藤原俊成と俊恵から歌人として大いなる賛辞を受けた源頼政の歌は従三位(じゅうさんみ)頼政の名前で『新古今和歌集』に次の3首が採ら…

新古今の景色(25)女房文学(18)赤染衛門(10)長寿の生涯歌人

長和元年(1012)2年ばかり病に伏していた夫の大江匡衡が61才で世を去り、この時赤染衛門は56歳であったが、宮廷ではおしどり夫婦として「匡衡衛門」と呼ばれる程仲睦まじかった夫を失ったのを機に出仕を辞し、落飾して信仰に生きながら母親として…

新古今の景色(24)女房文学(17)赤染衛門(9)栄華を支えた共稼ぎ(2)

ここで、藤原道長が詠じたとされる「この世をば 我が世とぞ思ふ望月の 欠けたることもなしと思えば」の望月の栄華について述べておきたい。 摂関期に道長が目指したのは関白ではなく摂政の地位であった。関白の機能は天皇へ助言する事にあるが、摂政は幼い天…

新古今の景色(23)女房文学(16)赤染衛門(8)栄華を支えた共稼ぎ(1)

赤染衛門が出仕した左大臣源雅信が長女倫子の夫として不承不承認めた藤原道長は、長兄の中関白道隆の死、直後に関白を引き継いだ次兄道兼の急逝、および日頃から道長に目をかけていた姉で一条天皇生母東三条院詮子の支援を受けて急速に権力の頂点に上り詰め…