私が『新潮日本古典集成 新古今和歌集 上・下』を手にして、真っ先に感じたのは、あの時代に随分長生きした歌人が多かったのだなという感慨だった。
で、どれくらい長生きをした歌人が多いかの把握することにしたのだが、まずは当時の日本人の平均寿命を知る必要がある。
そこで、「芭蕉が後期高齢者活躍の手本なら後白河法皇は一体!!」
(http://k-sako.hatenablog.com/entry/20090111)
で、引用した日本経済新聞夕刊(2009年1月10日付)「後期高齢者は活躍の時」と題する、物理学者・俳人の有馬朗人氏の下記の文章で確認すると、新古今の時代に最も近い室町時代の平均寿命が33歳であることがわかった。
「芭蕉が新風を生んだ41歳とか死去した51歳は、今から見るとどんな年齢に対応するであろうか。そこで、平均寿命を調べてみた。縄文31歳、弥生30歳、古墳31歳、室町33歳、江戸時代に45歳であった。明治には43歳、大正45歳、昭和10年男47歳・女50歳、昭和22年男50歳・女54歳、そして、平成10年には男77歳、女84歳であるという」
続いて『新潮日本古典集成 新古今和歌集下巻』巻末の作者略伝をもとに享年70歳以上の入集歌人をリストアップした結果、70歳以上の存命者が90名に上り、その内訳は、90歳以上7名、80歳~89歳が28名、70歳~79歳が55名だった。
(但し、生年没年未詳の歌人は計上出来ないので、他の書籍から72歳までの存命が確認された俊恵を加えたが、実態はもっと多いと思われる)。
この結果の圧倒的な生命力に気圧された私は、医学も栄養学も発展していないこの時代に、よくぞ長寿を全うされたと敬意を表して、享年90歳以上の歌人7名を入集数とともに掲げることにした。
実資(藤原) 90歳 右大臣従一位 1
道因 90歳 馬之助従五位上 4
参考文献:『新潮日本古典集成 新古今和歌集 上・下』久保田淳 校注