これまで、主唱者の俊恵からスタートして最後の紀康宗に至る歌林苑の会衆(常連メンバー)を『千載和歌集』と『新古今和歌集』に入集した歌と略歴で結んで、会衆個々の横顔らしきものを描いてきたが、全体を分類すると次のようになる。
(2)藤原氏=藤原清輔(六条藤家)・藤原教長(師実流)・藤原伊綱(師実流、素覚
の息子)・前大僧正覚忠(摂家相続流)・藤原資隆(道兼流)
(3)女房=二条院讃岐(源頼政の娘)・殷富門院大輔・参河(三河)内侍
(4)下級貴族=源季広・源有房・惟宗広言・藤原敦仲(道因の息子)・源通清・藤原
盛方
(5)神官=賀茂重保・祝部成仲・賀茂政平
(6)遁世僧=俊恵・祐盛(俊恵の弟)・登連・素覚・道因・空仁
上記から見えてくるのは、俊恵が白河の自坊を歌人達のサロンに開放した歌林苑に集まってきたのは、中流貴族・武士・神官・遁世者など上級サロンに列する機会が比較的乏しい歌人が多く、女房歌人も含めて年配者が圧倒的であった。
さらに、在野的で時流から外れがちな層の歌人が多かったと言えるのではないか。
『新潮日本古典集成 新古今和歌集』久保田淳 校注 新潮社
片野達郎・松野陽一 校注 岩波書店刊行